崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「俺が出るまでもないな」

 実力は圧倒的に少女のほうが上だった。

 自分が出るまでもないと思って上空から様子を見守っていたそのとき、レオナルドは、男の手にキラリと光るものを視界の端に見た。

 ──まずいっ!

 レオナルドは咄嗟に、乗っていたワイバーンから飛び降りて剣を抜くと殺さない程度に加減してその男を切りつける。

「きゃっ!」
「うぎゃぁぁ!!」

 二つの悲鳴がほぼ同時に聞こえ、男が仰向けに倒れて痛みにのたうち回る。さらに、レオナルドはなおも逃げようとする盗賊のもう一人に石を投げつけた。

「俺の管轄地で不義を働こうとするとは、いい度胸だな?」
「ひっ!」

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