崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「その勇敢さは素晴らしいが、勇敢さと無謀は隣り合わせだ。そして無謀はときに命取りになる。よく覚えておけ」

 レオナルドは、少女に諭すように語りかける。この少女はもしも自分達が助けに現れなかったら死んでいたかもしれない。
 少女は少し眉尻を下げると、しゅんと肩を落とした。

「ごめんなさい、放っておけなかったの。助けてくれてありがとう」
「いや、こちらこそ盗人の捕獲に協力してくれて助かった。礼を言おう。今後はこういうことは帝都騎士団に任せて──」

 レオナルドが話し終わるか否やというタイミングで、少女が「帝都騎士団?」と呟いてレオナルドを見返す。

「あっ。あーーー!!」

 突然叫んだ少女にレオナルドは、呆気にとられた。
 何かに気付いたようで、ひどく慌てた様子だ。
 
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