崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「助けていただきありがとうございます。申し訳ありませんが、行かなくてはっ!」

 少女はぺこりと頭を下げると走り出す。

「え? おいっ! 怪我はないか?」
「大丈夫ですっ」

 少女は一度だけ振り返り、そう叫ぶ。そして、すぐにまた走りだし、二度と振り返ることはなかった。


    ◇ ◇ ◇


「──ということがあった」
「ふーん。それで、それは誰なの?」
「知らん」

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