崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「いや、あれは第五師団だ」
「第五師団?」

 グレイルは訝しげに眉を寄せた。
 第五師団は町の警備をする隊でならず者を相手にすることが多く、華がないので新人騎士には不人気だ。しかし、実際は最も実戦が多く、剣の技術が確かな者達のみが配属される。

「大丈夫でしょうか?」
「あいつ、何も考えずに押されて下がっているように見えて、ずっと隙を狙っていた。自分に力がないことをわかっているからこその行動だ。己を過信する愚か者よりずっといい。それに、体が小さいから小回りがきくだろう」

 そこでレオナルドは言葉を止め、グレイルを見る。

「それに、あれはなかなか肝が据わっている」
「そうでしょうか? 閣下がそう言うのであれば、そのように変更させますが」

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