崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
 グレイルはやや納得いかない様子だったが、特に反対もしなかった。レオナルドの部下を見る目を信用しているのだ。

 既に決まっていた配属先の変更を申し伝えるために、各師団長達の控え室に向かう。その後ろ姿を見送ると、レオナルドはもう一度今年の新人名簿に目を通した。

「あいつはコスタ家の息子か……」

 六年ほど前にあったクーデター未遂事件で命を落とした先代のコスタ家当主、つまりディーンの父親はとても優秀な騎士だった。少年時代は時々稽古を付けてもらったことを、昨日のように思い出す。

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