崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました



 一時間ほど打ち合いをして完全に空が明るくなり始めた頃、レオナルドはだいぶ時間を過ぎてしまったから戻ると言った。

「閣下、ありがとうございました」

 アイリスはレオナルドに向かって頭を下げる。

 そのとき、上空でバサリと羽ばたくような音がした。見上げると、トカゲにコウモリの羽が生えたような生き物が飛んでいた。大きさは二、三メートルはありそうに見える。

「あれ……」

 あれは確か、入団式の日にも飛んでいるのを見かけた、不思議な生き物だ。故郷のコスタ領では一度も見かけたことがなかったが、皇都に来てからは時折飛んでいるのを見かける。
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