崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「私だと気付いておられたのですか?」
「当たり前だろう。それで、その決定的なミスはわかるか?」

 レオナルドに再度問いかけられ、アイリスはじっと考え込む。

「自らの力を過信したことでしょうか?」
「それも大きなミスだ。だが、もっと大きなミスをした」

 まるで謎解きのような問いかけに、アイリスは眉尻を下げる。なにをミスしたのかがわからなかったのだ。

「お前は勝負が完全に決する前に油断した。油断しなければあのように敵にみすみす武器を持つ隙を与えることなどなかったはずだ。実戦の際、その気の緩みが命取りになる」

 レオナルドはそう言うと、アイリスのことをじっと見つめる。

「……実はあの日、お前のことを姉だと勘違いした」
「姉といいますと?」
「随分とお転婆で破天荒な姉がいるだろう? 双子らしいな? 以前、舞踏会で一度だけ見かけた。お前とよく似ている」

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