崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
錯乱状態の男──この日、帝都の宝飾店から貴金属を強奪した強盗犯はがむしゃらに刃物を持った手を振り回す。体に鋭い痛みが走るのを感じたが、アイリスはそれよりも目の前の男の拘束を優先させた。
短剣をたたき落とし、男を馬から引きずり下ろすとうつ伏せに地面に押しつけ、後ろ手を拘束する。
「ディーン! 大丈夫か!?」
ようやく追いついたカインがアイリスに駆け寄る。
「ええ。拘束しました」
「よしっ」
素早く助太刀して男を縛り上げたカインは、ホッとしたような表情を見せる。そして、アイリスに視線を向けた瞬間、大きく目を見開いた。
「ディーン、それ……」
アイリスはその視線の先を追う。濃紺色の騎士服は至る所がざっくりと切れており、その下から覗く白いシャツは深紅に濡れていた。
短剣をたたき落とし、男を馬から引きずり下ろすとうつ伏せに地面に押しつけ、後ろ手を拘束する。
「ディーン! 大丈夫か!?」
ようやく追いついたカインがアイリスに駆け寄る。
「ええ。拘束しました」
「よしっ」
素早く助太刀して男を縛り上げたカインは、ホッとしたような表情を見せる。そして、アイリスに視線を向けた瞬間、大きく目を見開いた。
「ディーン、それ……」
アイリスはその視線の先を追う。濃紺色の騎士服は至る所がざっくりと切れており、その下から覗く白いシャツは深紅に濡れていた。