崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
「ああ。どうりで痛いと思いました」
アイリスは曖昧に笑って答える。
本当に、どうりで痛いと思った。男を無事に拘束して気が抜けた途端、その痛みが体中に押し寄せる。特に、刃物を体の中心部に受けるのを避けようとして右腕上腕部に受けた傷がズキズキと痛んだ。
「どうりで、じゃねえよっ! だから待てって言ったんだ」
「大した傷ではないし、犯人は捕らえました」
「血塗れじゃねえか! 宮殿に戻ったら医務室に行こう」
「行かない。大した怪我ではありません」
アイリスは首を振る。絶対に医務室には行けない。なぜなら、医務室に行けば自分が女であると知られてしまう。そうなれば、コスタ子爵家は終わりだ。
眉を寄せたカインが何かを言いたげに口を開きかけたが、アイリスはそれを無視して自身の馬に飛び乗る。
腕に力を入れると脂汗が滲むような激痛が襲ってきたが、なんとか耐えきった。
アイリスは曖昧に笑って答える。
本当に、どうりで痛いと思った。男を無事に拘束して気が抜けた途端、その痛みが体中に押し寄せる。特に、刃物を体の中心部に受けるのを避けようとして右腕上腕部に受けた傷がズキズキと痛んだ。
「どうりで、じゃねえよっ! だから待てって言ったんだ」
「大した傷ではないし、犯人は捕らえました」
「血塗れじゃねえか! 宮殿に戻ったら医務室に行こう」
「行かない。大した怪我ではありません」
アイリスは首を振る。絶対に医務室には行けない。なぜなら、医務室に行けば自分が女であると知られてしまう。そうなれば、コスタ子爵家は終わりだ。
眉を寄せたカインが何かを言いたげに口を開きかけたが、アイリスはそれを無視して自身の馬に飛び乗る。
腕に力を入れると脂汗が滲むような激痛が襲ってきたが、なんとか耐えきった。