崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
そのとき、背後でガシャーンと大きな音がした。
振り向くと、侍女のレイラが茶色い瞳が大きく見開いたまま立ち尽くしている。
「お嬢様! 何をなされているのですか!」
レイラは半ば悲鳴にも近い声を上げた。真っ青になってアイリスの元に駆け寄ると、「なんてことなの……」と呟き、両手で口を覆った。
「お美しい髪がこんなに……」
へなへなと座り込んで呆然とするレイラの前に、アイリスは膝をついた。
「ディーンがああなってしまっている以上、これしか方法がないの。スティーブン様との婚約も破棄された今、誰も助けてくれないわ。レイラもわかっているでしょう?」
「でも、それではアイリス様のお幸せは……」
アイリスは目に涙を浮かべるレイラの口元に人差し指を添える。
「このままでいても幸せなど来ないわ。私の幸せは、無事にあの子を立派なコスタ家の当主にすること。お願い、応援して? そうでないと私、一人では立てなくなりそうなの。今だって怖くて足が震えそうだわ」
振り向くと、侍女のレイラが茶色い瞳が大きく見開いたまま立ち尽くしている。
「お嬢様! 何をなされているのですか!」
レイラは半ば悲鳴にも近い声を上げた。真っ青になってアイリスの元に駆け寄ると、「なんてことなの……」と呟き、両手で口を覆った。
「お美しい髪がこんなに……」
へなへなと座り込んで呆然とするレイラの前に、アイリスは膝をついた。
「ディーンがああなってしまっている以上、これしか方法がないの。スティーブン様との婚約も破棄された今、誰も助けてくれないわ。レイラもわかっているでしょう?」
「でも、それではアイリス様のお幸せは……」
アイリスは目に涙を浮かべるレイラの口元に人差し指を添える。
「このままでいても幸せなど来ないわ。私の幸せは、無事にあの子を立派なコスタ家の当主にすること。お願い、応援して? そうでないと私、一人では立てなくなりそうなの。今だって怖くて足が震えそうだわ」