崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
宮殿の皇都騎士団に戻って後処理を終えると、アイリスは自室へと戻った。服を脱ぎ捨てて怪我の具合を順番に確認してゆく。
「痛っ」
浴槽内で綺麗な水で傷口を清めると、鋭い痛みが走った。ぐっと唇を食いしばり、弟のディーンへ送る薬を買うために今も定期的に通っている薬屋で購入した塗り薬を塗り込む。
ディーンの病は今も完全にはよくならない。しかし、アイリスが送った体力回復の薬を飲んだは後は数日間調子がいいと手紙に書いてあっので、今も欠かさずに薬を送っていた。
全ての箇所に薬を塗り込むと、アイリスは最後に丁寧に包帯を巻いた。
元々こんな傷の手当てなど、一度もやったことがなかった。しかし、皇都騎士団に入団して早半年、常に生傷が絶えないので必要に迫られてできるようになったのだ。