崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
おおかた処理を終えると、アイリスは最後に一番深い右腕上腕部の傷を水ですすぐ。先ほどまでとは比べものにならない激痛が走った。傷が思った以上に深い。
「まずいわね……」
薬を塗ってもすぐにぱっくりと傷口が開き、血が染み出てくる。更に、右腕上腕部という位置的に左手だけを使って包帯を巻かねばならず、うまく巻くことができなかった。
「こんなもので平気かしら?」
暫く格闘してなんとかそれらしく包帯を巻くことができた。胸に晒しを巻き直してから白いシャツを羽織り、騎士団から支給されている懐中時計を見ると、夕食の時間をとうに過ぎていた。
「あ、ディーン。一緒に行こうぜ」
部屋を出るとすぐに背後から声を掛けられた。振り返ると、ちょうど隣の部屋からカインが出てくるところだった。
「まずいわね……」
薬を塗ってもすぐにぱっくりと傷口が開き、血が染み出てくる。更に、右腕上腕部という位置的に左手だけを使って包帯を巻かねばならず、うまく巻くことができなかった。
「こんなもので平気かしら?」
暫く格闘してなんとかそれらしく包帯を巻くことができた。胸に晒しを巻き直してから白いシャツを羽織り、騎士団から支給されている懐中時計を見ると、夕食の時間をとうに過ぎていた。
「あ、ディーン。一緒に行こうぜ」
部屋を出るとすぐに背後から声を掛けられた。振り返ると、ちょうど隣の部屋からカインが出てくるところだった。