崖っぷち令嬢が男装したら、騎士団長に溺愛されました
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「医務室に行こう」
「何をっ! 傷の手当ては済んだ。全て掠り傷です」
「嘘をつけ! これで掠り傷のわけがないだろうっ!!」
ぐいっと腕を引かれ、アイリスは息を呑んだ。白いはずのシャツが血塗れだ。
きっと、包帯が緩んでまた傷口が開いたのだ。
「離せ。必要ありません」
「必要ないわけないだろう! 医者嫌いもいい加減にしろ!」
壁を殴るドンっという音がして、カインが不機嫌そうに目を眇めた。掴まれている右手を引いたが、全く動かなかった。カインの方が力が強い上に、傷が痛んで力が入らないのだ。
「今日こそは絶対に医務室に連れて行く」
「いやです」
「断る。怪我をした奴とペアを組まされたんじゃ、こっちがいい迷惑だ」
吐き捨てるようにそう言ったカインは、アイリスの手首を引く。
「何をっ! 傷の手当ては済んだ。全て掠り傷です」
「嘘をつけ! これで掠り傷のわけがないだろうっ!!」
ぐいっと腕を引かれ、アイリスは息を呑んだ。白いはずのシャツが血塗れだ。
きっと、包帯が緩んでまた傷口が開いたのだ。
「離せ。必要ありません」
「必要ないわけないだろう! 医者嫌いもいい加減にしろ!」
壁を殴るドンっという音がして、カインが不機嫌そうに目を眇めた。掴まれている右手を引いたが、全く動かなかった。カインの方が力が強い上に、傷が痛んで力が入らないのだ。
「今日こそは絶対に医務室に連れて行く」
「いやです」
「断る。怪我をした奴とペアを組まされたんじゃ、こっちがいい迷惑だ」
吐き捨てるようにそう言ったカインは、アイリスの手首を引く。