現在、片想われ中
名前で呼べと強要してくる彼は、私が名前を呼ぶまでじっとこっちを見つめている。

「・・・・・・拓也」

名前で呼んであげたら笑顔で返してきた。

「それじゃあ屋上に行ってもっと話そうぜ。今の灯里と仲良くなりたい」

そろそろ授業が始まるから教室に行ったほうがいいのでは・・・・・・。
この辺りには時計がないから時間は分からないが。

「授業は・・・・・・?」
「もうとっくに始まっている。だからサボるぞ」

サボるのは良くないと思い、遅刻だが教室に戻ろうと歩き出した。

「どこ行くんだよ?」
「教室」

私たちの教室は拓也が行こうとしている屋上とは正反
対の校舎にある。

「ふ〜ん・・・・・・」
「きゃっ」

教室へと足を一歩踏み出したとき、私の体は持ち上げられ、抱きかかえられていた。

「降ろして」
「ヤダ」
「はやく」
「ヤダ」

これ以上言っても時間の無駄だと思ったので、今度は必死に押し返す。
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