現在、片想われ中
「今日はありがとな、弁当と応援」
「応援、してない。見てただけ」
「灯里は居てくれるだけでうちの士気が上がるんだ」
他愛のない話をしていた時だった。
二人が信号を渡っていると右側から赤信号にも関わらず、トラックがスピードを落とすことなく走ってきていた。
ぶつかると思った瞬間、海里は灯里を守るようにしてぶつかった。
プルルルルルップルルルルルッガチャ
「もしもし」
『お忙しい中すみません。警察ですが新藤さんのお宅で間違いありませんか?』
「はい、警察の方がどうしたんですか?」
『お宅の娘さんと息子さんが事故に遭いまして・・・・・・」
母は警察の人から説明を聞き次第、タクシーを拾って急いで病院に向かった。
タクシーに乗っている途中、父に連絡を入れる。
病院に着くなり、タクシーを飛び出して走って行く。
受付まで行き、二人が何処にいるか聞こうとした時、横から医者と思われる人が話しかけてきた。
「あの、もしかして新藤海里君と灯里さんのお母様ですか?」
「はい」
「一緒に着いて来てもらえませんか?」
母は医者とともに奥にある部屋に入っていった。
「どうぞおかけください」
「失礼します」
母が椅子に座ると、緊張した面持ちで医者は告げた。
「申し訳ありません。お兄さんの海里さんは手を尽くしましたが助けることができませんでした」
母は初め何を言っているのか分からなかった。