現在、片想われ中
「どういうことですか?」
理解しきれていないまま医者に問う。
「お兄さんは・・・・・・」
そして医者の説明を聞くこと数十分、ようやく今の状況を理解した。
「ですが妹の灯里さんは比較的軽傷で助かりました。手術が終わり部屋で眠っていますので、ご案内いたします」
今いる部屋の近くにあるエレベーターに乗って灯里がいるであろう4階に行く。
そしてそのままドアを開けた医者に続いて母は入る。
手術後時間が経ち、ケガが少なかったこともあり、病院のベッドの上では灯里が目を覚ましていた。
灯里のいる方まで進み、ベット脇にある椅子に座ると診察を始めた。
「では初めに、ご自身の名前はわかりますか?」
「名前は・・・・・・・・・・・・新藤・・・・・・海里」
その瞬間この病室の一隅だけが静寂に包まれた。