現在、片想われ中
放課後。
「頑張って勉強しろよ」
「ああ」
クラスメイトが全員帰り、誰もいなくなった教室に放送だけが流れている。
そろそろ大丈夫だろうと思って呼びかけた。
『起きてるか、灯里?』
『うん』
この体の中には二つの人格があり、海里が見ているものは灯里も見ているし、感覚、感情全てを共有している。
『誰もいなくなったからたまには出てくるか?』
『うん、分かった』
『しばらく休むから後は頼んだぞ』
そう言い残して海里の人格は奥の方へと消えた。
「んー・・・・・・」
一人だから何をしていいのか分からない。
私は共有しているとは言っても、性格とかはそのままだからな〜・・・・・・。
そんな事を考えていると、廊下から足音が聞こえてきた。
通り過ぎるだろうと思っていた足音は、この教室のドアの前でピタリと止まった。
ドアが開き入ってきたのは・・・・・・氷堂拓也。
「まだ補習は始まってなかったのか?」
本当は補習というのは嘘だった。
海里が、私が出て来やすい状況を作ってくれるために補習と言った。