狼くん、ふれるなキケン!



怖々、慎重に髪の毛を乾かし終えた。


ひなの髪はさらさらストレートというよりは、赤ちゃんみたいなふわふわの毛があちこちでぴょこぴょこしている。

なんか、小動物とか、ぬいぐるみみたいな感じ。




無事に乾いた髪をそっと最後にすいてから、もう一度ひなに呼びかけてみる。けれど、予想通り、返事はなかった。



こっちの気も知らないで、気持ちよさそうに熟睡しているから、もう何もかも通り越して、盛大にひとつ、ため息をこぼす。




「……これは、不可抗力だし」




ひなに対してなのか、自分に対してなのかは、よくわからなかった。言い訳するみたいにちいさく呟いてから。



ソファに横たわっているひなの背中と膝の裏に腕を回して、抱き上げる。思ったより簡単に持ち上がってびっくりした。


軽くて、ちっちゃい。




「……っ」




ごく、と思わず生唾を飲みこんだ。






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