狼くん、ふれるなキケン!



いま、ちょっと変な間が空いたな。
なんだその間は。



否定する狼くんに、さらなる疑問をぶつけてみる。




「それからですね、ええとたぶん、昨日ドライヤーかけるのも忘れちゃったはずなんです」





やっちゃった、という自覚はしっかりあった。



乾かすのを忘れた髪の毛は確実にバクハツする。前科だってあるもん……とベッドから体を起こすまでにすでにユーウツだったのに。



びっくりしちゃった。

もちろん、もともとクセっ毛だから広がるには広がっていたんだけど、濡れたままの髪で寝たときのあの絶望感とは程遠くて。



だから。




「もしかして、ドライヤーも……?」




こちらもぜんぜん自信はない。

だって、昔のままの狼くんならまだしも、今の狼くんがわざわざ私のためにそんなことをしてくれる気がしない。




だけど、狼くん、根は優しいし、ひょっとして……と思っちゃったりもするのだ。


だって、事実、いまこの家には私のほかに狼くんしかいないもの。





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