狼くん、ふれるなキケン!
それはそうと。
「じゃあ、私、昨日、自分の足で部屋まで戻ったってことですか……?」
「……寝ぼけながら髪乾かして、寝ぼけながら歩いて部屋戻って、寝ぼけながら寝たんじゃない、知らないけど」
寝ぼけながら寝た……?
違和感満載の言い回しに思わずつっこみそうになったけど、そんな空気じゃない。
つっけんどん、突き放すような言い方は冷たさをまとっていて、反論の隙も与えてくれなかった。
それで腑に落ちたかというと、ぜんぜんそんなことはないけれど、狼くんがそう言うのならそういうことだ。
そういうことにしておこうと思う。
きっと、これ以上食い下がったってむだだもん、と仕方なく諦めることにする。
それに、時間だってあまりない。適度にいそがないと、昨日に引き続きまた遅刻ぎりぎりになっちゃう……!
おしゃべりは一旦中断だ。
「あれ……?」
きょとんと鏡にうつる自分の姿を見つめる。
顔……というよりは首もと。