狼くん、ふれるなキケン!





「あれ、ひなちゃん今日めずらしーね」




学校につくなり、隣のまやくんに捕まった。

いや、話しかけられたといった方が正しい、捕まったというのは語弊がある、けれど……。




「めずらしい……?」

「髪型、ポニーテール」




じっさいは新学期がはじまってまだ数日。

まやくんと顔を合わせたのもその数日だけで、それだけでめずらしいってなんだかなあ、と思う。


でもたしかに、髪の毛はおろすか下の方でまとめているかが多いから、がばっと全部あげてしまうのはめったにないかも。




「なんだか暑くって」

「暑いって。今からそんなこと言ってたら夏溶けるよー?」




まやくんがくすくす笑う。

その間にも興味津々にポニーテールを見つめているようだったから。




「もしかして、変ですか?」

「へん?」

「や、ポニーテール、似合ってないのかなって」




純粋に不安になって聞いただけだった。
……んだけど、さすがはまやくんというか。


切り替えはほんの一瞬、甘ったるい表情と、どこから出してるんだってくらいお砂糖たっぷりの声色で、甘やかすみたいに。




「むしろその逆」

「逆って……っ、ひゃ」

「超かわいーよ、美味しそう」





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