狼くん、ふれるなキケン!


絶対わざと、確信犯。


弱いところばっかり、ねらってくすぐる指先に、思わず声をあげてしまう。だって、ほんとうにくすぐったい……!



「ポニーテールっていいよね」

「なにがですかっ」

「噛みつきたくなるっていうかー」

「はい……っ?」




探るみたいに、首もとをするっと指先がくぐりぬける。


触れるかふれないかの位置を軽くすべっていく、まやくんの容赦ない指先に息をひそめてこらえていると。




「ひなちゃんって、ほんときれーな肌してる……って────あれ」

「……?」




急にぴたりとまやくんの動きがとまる。
凍りついたまやくん、すこし強ばったその表情。




「まやくん……?」





不思議に思って、まやくんの名前を呼ぶ。

と、金縛りが解けたようにまやくんが表情をゆるめた。



ただ、さっきまでと違うのは、にやりと口角にいじわるな笑みを浮かべていること。





「ねー、ひなちゃん」

「はい……?」

「面白いもの、つけてるね?」





< 136 / 352 >

この作品をシェア

pagetop