狼くん、ふれるなキケン!
なんのこと、ときょとんとする。
そんな私にまやくんは、まやくん自身の首すじにとんとん、と指先で触れて。
「ここ」
「……?」
慌てて自分の首を確認しようとするけれど、見えない。
鏡がないと確かめられない位置。
「……なにか、ついてます?」
「ふ、気づいてないのー?」
「え……」
「赤くなってるよ」
赤くなってる……?
何を言われているのか、最初、ぜんぜんわからなかった。
ちょっと思い返して。
……あ。
朝、鏡ごしに見つけた痕のことを思い出す。
「あ、それ、たぶん虫刺されで……」
「ん? どう見ても違うじゃん、そんな濃いーのつけときながら何言ってんのー」
「えっ?」
探るみたく、目を細めたまやくんの瞳に捕まる。
「まさか、本気で気づいてないの? それ、キスマークでしょ」
「……っ?」