狼くん、ふれるなキケン!
き、すまーく?
頭にぽこぽこはてなマークをいくつも浮かべていると、そんな私の表情にまやくんは、ふはっと吹き出した。
「そんな気はしてたけど、ひなちゃんってそーとーウブだよねー」
「……っ?」
「その痕、わかる奴が見ればすぐにわかるよ、牽制だって」
「牽制……って」
どうしてそんなことが言えるの、って疑問をぶつける前にまやくんが先回りする。
「俺のですってマーキングしてんの、他の男に手出しすんなよって」
動物がナワバリ張るのとおんなじようにね、ってまやくんは言う。
けれど、ぜんぜん頭が追いついていない。
仮に、この赤くなってるのがキスマーク……というものだとして、誰がいったいどうやって。
「誰かにやらしーキスとかされなかった?」
「……!?」
唐突なまやくんの質問に目を見開いて思いっきり首を横にふる。
なんで、いきなり、そんなこと聞くの。
そう思ったのはまやくんにはバレバレだったようで、呆れたように鼻で笑われた。