狼くん、ふれるなキケン!


頬をふくらませる道枝さんをまやくんは相変わらず軽く受け流す。




「べつに、ゆっきーに関係ないじゃーん」

「……!」

「それとも、なに? ゆっきー、おれとひなちゃんがイチャイチャしてるのいやなの?」




それならそうと言ってくれれば、なんて、からかい100パーセントのまやくんに道枝さんは顔を真っ赤にした。


そんな場合じゃないのに、その表情、かわいい、と思っちゃった。

頬を赤く染めたまま、道枝さんはきゅっと形のいい眉を寄せて。




「ふざけないで……!」

「うん?」

「まやの冗談はタチが悪いの!!」

「その言い方じゃ、ゆっきー、おれのこと好きってことになるけど」

「なわけないから!」




ぶんぶん首を横に振って全否定する道枝さん。

その動きにあわせて、ポニーテールのしっぽがゆらゆら揺れている。




「そんなんじゃなくて、呼び戻しにきたの! もうすぐ1限はじまっちゃうんだから!」




遅刻するつもりじゃないでしょうね、と口をとがらせた道枝さんに、私はあわてて時計を確認した。




ほ、ほんとうだ……、もうこんな時間なのっ!?





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