狼くん、ふれるなキケン!


「あ、あのですね」

「うん?」

「その……、道枝さんって去年、狼くんと同じクラス、だったとか……?」

「えっ、どうして?」




純粋にびっくりしたように聞き返されてしまう。

けれど、私だって当てずっぽうで言ったわけじゃなくて。




「知ってたみたい、ですよね、狼くんのこと」




思ったんだ、今朝。


私とまやくんを探しにきてくれた道枝さんだったけれど、とつぜん鉢合わせた狼くんに驚きはしていたものの、『藤川くん』とすぐに認識していたから。


もとから知り合いだったのかな、って。




それなら学校での狼くんの様子を、道枝さんから聞けるかも────なんて、よこしまな考えは一旦置いておくことにする。


純粋に気になったのも事実だもん。




「あー……、ううん、特に関わりがあったわけじゃないんだけど」

「……?」

「藤川くんって、ちょっとした有名人だから」




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