狼くん、ふれるなキケン!





「ここが私の家なんだー」

「はえー……」




指し示された一軒家に、思わず間の抜けた声が漏れた。



大きい、そしてキレイ。

狼くんのおうちもアンティーク調でおしゃれだけれど、それとは対極的なおしゃれさだ。モダンな感じ。

そして、ひと言であらわすなら “豪邸” だ。




「プラス、おれの家でもあるってわけー」

「……!」



まやくんが付け足した言葉に思いっきり動揺した。


道枝さんとまやくんが同じ家に……?
それは、同居ってこと、なのかな。


まさか、狼くんと私とおんなじ……?



でも、憶測だけでしゃべるのも良くないと思って、とりあえず当たり障りのないことを口にする。




「おっきいおうちですね……」

「そー?」

「お城みたいで羨ましいです」

「ははっ、じっさいは無駄に広くて虚しーだけだけど」




気のせいかな、まやくんが少し寂しそうに目を伏せた。


加えて、「虚しい」なんてまやくんらしくないワードチョイスに首を傾げる。





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