狼くん、ふれるなキケン!



「さ、入って入って」

「お、おじゃまします……」



道枝さんにうながされるまま、靴を脱いで玄関にあがる。


ほんとにキレイで広々とした家。

こんなに見たら失礼かな、と思うものの、思わずきょろきょろとあたりを見回してしまう。




「ひなちゃーん、荷物この辺に置いとくよー」

「わっ、ありがとうございます……!」




そうだった、ここまで来る間、まやくんに買いもの袋を持ってもらっていたんだった。



自力でもぎりぎり持てるくらいの重さだったんだけれど、まやくんが『持つよ、さすがに見てらんない』と自ら申し出てくれて。


それから道枝さんも、『真矢の使い道なんて荷物持ちくらいしかないんだし、遠慮しなくていいんだよ』と。



そういうわけで、お言葉に甘えることにしたの。




まやくん自身の買いもの分と、私の分。

合わせると、そうとう重いはずなのに、まやくんはいとも簡単にひょいと持ち上げていてびっくりした。


同時に、重いものを持って浮き上がった腕の筋にもおどろいた、まやくんも、ちゃんと男子高校生なんだ……って。




あんなに、泣き虫の弱虫だったのにね。


でも、それもそのはず。

狼くんだってすっかり男子高校生なんだもん。それも反抗期の。





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