狼くん、ふれるなキケン!



「はい、どーぞ」



ことり、とローテーブルに置かれたティーカップ。赤銅色がそのなかでたゆたって、湯気がのぼっている。



合わせて缶に入ったクッキーも出してくれた。
なんだか、ほんとうにお茶会みたい……。




ひとまず心を落ちつけるために、道枝さんが淹れてくれた紅茶に口をつけたのだけれど、慌てたせいか「あちっ」と舌をやけどしてしまいそうになった。



反省して、ふーふー息を吹きかけて冷ましている最中。




「それで……、何から話そうかな」

「あのっ」

「ふふ、いっぱい気になることあるでしょ?」

「それはもう……!」




その通り。
聞きたいことがありすぎる。

この状況すべてが謎なんだもん。




「……道枝さんとまやくんは一緒に住んでるってことですか?」

「そうだね」

「シェアハウス、的な……?」

「いや、そういうのじゃなくて。私と真矢、きょうだいなんだよね」





< 207 / 352 >

この作品をシェア

pagetop