狼くん、ふれるなキケン!
「はい、どーぞ」
ことり、とローテーブルに置かれたティーカップ。赤銅色がそのなかでたゆたって、湯気がのぼっている。
合わせて缶に入ったクッキーも出してくれた。
なんだか、ほんとうにお茶会みたい……。
ひとまず心を落ちつけるために、道枝さんが淹れてくれた紅茶に口をつけたのだけれど、慌てたせいか「あちっ」と舌をやけどしてしまいそうになった。
反省して、ふーふー息を吹きかけて冷ましている最中。
「それで……、何から話そうかな」
「あのっ」
「ふふ、いっぱい気になることあるでしょ?」
「それはもう……!」
その通り。
聞きたいことがありすぎる。
この状況すべてが謎なんだもん。
「……道枝さんとまやくんは一緒に住んでるってことですか?」
「そうだね」
「シェアハウス、的な……?」
「いや、そういうのじゃなくて。私と真矢、きょうだいなんだよね」