狼くん、ふれるなキケン!



「え……」



思わず目を見開く。
ぽかんと開いた口がふさがってくれない。

きょうだい……って、道枝さんとまやくんが?
だって、そんなそぶり……一度も。




「きょうだいって言っても、義理のなんだけどね」

「えっと……」

「私のほうが誕生日がはやいから、私が真矢の義理の姉で、真矢が私の義理のおとうとなの」




義理のお姉ちゃんとおとうと。

わかったようでわからない。



実感がないっていうのと、純粋に驚いているのがおおきいのだと思う。

困惑でいっぱいの私に、道枝さんはちょっと笑って手元のマグカップを覗きこんだ。


道枝さんが飲んでいるのはブラックコーヒー、大人っぽいの、イメージ通り。




「ちょっとフクザツな事情があってね、中学生のときに私のお父さんと真矢のお母さんが再婚したんだよね」




それをきっかけに、この家で皆で暮らすことになったんだ、って道枝さんは言う。

再婚……ってことは、今は正式に道枝さんとまやくんは家族ということだ。





「でも、苗字は……」

「そうそう。中学生っていろいろ多感な時期でしょ? 苗字をそろえて変な目で見られるのもやだなってことで、高校卒業するまでは真矢は八木のままってことになってるの」

「なるほど……」





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