狼くん、ふれるなキケン!
「はいはい」
軽くあしらわれる。
狼くんはそれ以上何も言ってくれない。
そのまま狼くんが消灯して、ふっと部屋が暗くなる。
暗やみのなか、聞こえる狼くんの息づかいと、ふれてはいないけれどたしかに感じる体温。
それから狼くんの匂い。
やっぱり落ちつくの。
落ちつくとは正反対のように思える、心臓はドコドコうるさく脈うってるから……。だけど、落ちつくの、ここが私の居場所だって思う。
ううん、ただの願望なのかもしれない。
ここが私の居場所だったらいいのに────って。
そんなことを考えていたら、次第に意識がまどろんでいく。
ほんとうに不思議、あんなにゾンビがこわくって仕方なくて、寝れそうになかったのに、狼くんがいればもうそんなことどうでもよくなっちゃうんだから。
狼くんのことが好きだからそう思うのか、そう思うから好きなのか、どっちが先なのか、もうわからないな。
ぼんやりとした意識が夢のなかへと飛びこむ寸前、意識を引き戻したのは狼くんの静かな声だった。
「……八木とは、仲いいの」
「え……、ふつう、ですよ?」
急な質問に面食らって、まどろんでいた意識が覚醒する。
なんで、きゅうに、まやくん?