狼くん、ふれるなキケン!



そしてまた、しん、と静まりかえる。
ふたたび訪れた沈黙が寂しくて。



「狼くん、狼くん」

「……なに」

「呼んでみただけ、です」

「うざ。さっさと寝ろよ」




そう言われると思った。
だけど……なんだか、もったいなくて。



と思いつつも、再度、睡魔が襲ってくる。
ふわわ、とあくびをこぼしてると。




「……あー、一個だけあった」

「いっこ……?」


「物申しておきたいこと」

「……?」


「ひな、寝るときに下着つけないのなんとかしたら」




下着のことを指摘されたというのに、眠気で思考回路がにぶっていて、つっこむ余裕もなかった。


ふわふわした意識のなかで答える。




「だって、息苦しい……もん」

「そういう問題じゃねー ────って、もう聞こえてないのかよ」




さっきまでうるさかったくせにもう寝たのか、って狼くんのあきれた声はかろうじて聞こえたよ。




おやすみ、狼くん。




狼くんのおかげで今夜は、甘くて切なくて、でもとびきりしあわせな夢が見れそうなの。

そして、かなうなら、狼くんにも私の夢をみてほしいと願った。






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