狼くん、ふれるなキケン!


寒さにふるえる私にため息をついた狼くんは。



「……風呂、入ってくれば」

「お風呂……」

「そのまま濡れたままでいるつもりならいいけど」

「や、ちがくて……入ってもいいんですか?」

「入るならさっさと入って」



追い払われるみたいに言われて、ちょっとショックを受けていると。




「早く行けば」

「そんな言い方しなくても……っ」

「……困るんだよ、そのままでうろうろされると」




困る……?

どういうこと、ときょとんとする。




「……目のやり場に困る」

「目……?」

「ひな、今自分がどういう格好かわかってる?」




格好……。

びしょ濡れのぐしょ濡れで、せっかく朝時間をかけてととのえた髪もぐちゃぐちゃになっちゃって……、そうとうみっともない格好なのは自覚あるよ。



そう思っていると、その顔はぜったいわかってない、と狼くんがあきれたようにため息をついた。





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