狼くん、ふれるなキケン!
「制服」
狼くんの言葉に、そろりと身につけている制服に視線を落とす。
「……透けてて、ぜんぶ見えてる」
「ぜ……っ!?」
ぜんぶって。
どこからどこまでのぜんぶ……っ?
あわてて確認すると、ほんとうに透け透けだった。
濡れたシャツというのは何も隠してくれなくなるらしい、下着が丸見え……っ。
恥ずかしさにぶわっと顔があつくなった。
慌てて腕で隠すけれど、今さらあまり意味がないような気もする。
「その格好で外歩いて帰ってきたってことだろ」
「う……、はい……」
「……露出狂?」
ろ、しゅつきょう……。
「そんなつもりじゃっ」
「そんなつもりじゃなくても、男はエロい目で見る」
「えろ……っ」
「どうにかしたくなるってこと」
急に、生々しくて目を逸らした。
どうしたらいいかわからない、“男の子” の部分が強くなった狼くんには、まだ慣れなくて。ドキドキが限界値、思わず逃げ出したくなってしまう。
「……ひな、顔、真っ赤」
「ひゃ……っ、う、し、失礼しますっ」
耐えきれなくなって、たっと駆け出した。
向かう先は、お風呂、脱衣所一直線。
狼くんが好き。
好きだって思う気持ちは毎日どんどん大きくなるから、最近はほんとうに、心臓がすぐにおかしくなってしまう。
それに……なんだか、最近は、狼くんも少し私に甘い気がして。
────気のせい、かもしれないけれど。