狼くん、ふれるなキケン!


とつぜん、脱衣所が真っ暗になって。
何も見えなくなる。



雷が落ちて、きっとそれが原因の停電────って、頭のかたすみではわかっていたのだけれど。




「っ、ろうくん……っ!」




突然の停電……なんていう、ホラー映画に出てきそうなシチュエーション。

急にぞわっとこわくなって、思わず、脱衣所を飛びだす。




「ひな……?」



声がした方向、手探りで狼くんを探して。



「狼くん……っ、きゃっ」




慌てたせいか、足の裏をちゃんと拭けていなかったせいか、つるんっときれいに足をすべらせてしまう。



フローリングの床、足が浮いて、前のめりにつんのめる。

そのまま頭から床に直撃────とひやっとして目をつむったのだけれど。




直後、ドスッと衝撃音、だけど痛みを感じない。




「……痛え」

「っ、狼くん……!?」





おそるおそる瞼をあげると、狼くんが私の下敷きになっているという衝撃的な光景が待っていた。





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