狼くん、ふれるなキケン!
◇
狼くんの服を借りて寝たからか、狼くんの夢を見た。
狼くんにぎゅーっと宝物みたいに抱きしめられる夢。
甘くてふわふわ、夢ごこち。
気持ちのいい目覚め……だったのだけれど。
「ん゛ん゛っ」
起きてすぐ違和感に気づく。
喉が、なんだか、いがいがする。
ざらざらして、なにか、引っかかる感じ。
お水がほしい……と思って立ちあがる。
「あ……、狼くん、おはよ……っ、ごほっ」
キッチン、冷蔵庫のところに向かえば狼くんがいた。
挨拶をするべく口をひらいたのに、途中で咳きこんでしまう。うう、やっばりのどのあたりが気持ちわるい。
────と、そこまで考えて。
狼くんが……起きてる?
「えっ」
慌てて掛け時計を確認して、びっくりした。
……っ、もうこんな時間……!?
いくら朝に弱い狼くんでも起きてて当然の時間。
だって、もうすぐにでも家を出ないと遅刻しちゃう……っ。
どうして。
こんなに寝過ごすことなんて、普段ならありえない。
それに起きてしまえばいつも、頭はすっきりはたらいてくれるのに、今日はなんだかぼやぼやする……。