狼くん、ふれるなキケン!





狼くんの服を借りて寝たからか、狼くんの夢を見た。

狼くんにぎゅーっと宝物みたいに抱きしめられる夢。


甘くてふわふわ、夢ごこち。
気持ちのいい目覚め……だったのだけれど。




「ん゛ん゛っ」




起きてすぐ違和感に気づく。

喉が、なんだか、いがいがする。
ざらざらして、なにか、引っかかる感じ。

お水がほしい……と思って立ちあがる。




「あ……、狼くん、おはよ……っ、ごほっ」




キッチン、冷蔵庫のところに向かえば狼くんがいた。


挨拶をするべく口をひらいたのに、途中で咳きこんでしまう。うう、やっばりのどのあたりが気持ちわるい。



────と、そこまで考えて。

狼くんが……起きてる?





「えっ」




慌てて掛け時計を確認して、びっくりした。
……っ、もうこんな時間……!?



いくら朝に弱い狼くんでも起きてて当然の時間。

だって、もうすぐにでも家を出ないと遅刻しちゃう……っ。




どうして。



こんなに寝過ごすことなんて、普段ならありえない。

それに起きてしまえばいつも、頭はすっきりはたらいてくれるのに、今日はなんだかぼやぼやする……。




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