狼くん、ふれるなキケン!
「なにか食べれそう?」
「うん……」
正直にいうと、お腹はあんまりすいてない。
わからない、朝から何も食べてないから、すいてないとおかしいのだけれど……食欲がなくて。
ごまかしたつもりだったのだけれど、狼くんはすぐに食欲がないってわかったのか。
「とりあえず、口に入れられるものだけでも食え」
「……うん」
「りんごなら食える?」
固形物はちょっと、くるしいかもしれない……と思ったのだけれど、狼くんが見せてくれたお皿にはすりおろしたりんごが入っていた。
寝ている間に、準備してくれてたの……?
「食べる……っ」
優しさがじんわりと染み渡っていく、いちばんの薬かもしれない。風邪をひくと、無性に心細くなるものだけれど、それが一瞬で溶けてなくなっていく。
はい、とお皿とスプーンを手渡されて。
じっとにらめっこする……うちに、甘えたな心が顔を出した。
「……狼くん」
「うん?」
「食べさせて、ほし……」