狼くん、ふれるなキケン!
ふう、と一息、呼吸を落ち着けてから。
肩を縮こめて、火照った頬を手のひらで覆う。まだ心臓が不整脈。
うう、こんなに緊張したの、いつぶりだろう……。
それに、自己紹介を終えたからって、これはまだほんの序の口だ。
大丈夫かな、ちゃんと馴染めるかな。
友達……できるかな。
新生活にワクワクしていないわけではない、けれど、それをはるかに上回る緊張と不安に飲み込まれそう。
「近原さんはまだこの学校に慣れていないだろうから、わからないことがあればクラスのみんなを頼りなさい。で、みんなは色々教えてやってほしい」
先生の言葉に、「うぃーっす!」と、きっとお調子者でムードメーカー的ポジションなのだろう男の子の元気な返事が重なった。
そこに、くすくす、と女の子たちの笑い声が混じっていく。
うん、クラスの雰囲気は悪くないみたい、よかった。ひとり、ほっと胸を撫で下ろして息をつく。
すると、右隣から妙に視線を感じて。
「……?」
そろりとそちらを振り向けば、目が合った。
ハイトーン、ミルクティー色の髪の毛────は、きっと校則違反、それから毛先をほんのりピンクに染めてくるんと遊ばせている男の子。