狼くん、ふれるなキケン!
いやなんだよ。
ひなのこと、純粋な気持ちで好きでいられるわけじゃないから。
好きだ、だから優しくしたい、どろどろに甘やかしたい、そう思わないわけじゃない。
だけど、それ以上に暴力的な欲求がこみ上げてくる。
無防備な姿を見せられる度、死ぬほど欲情する。
ふれたい、ぜんぶ、余すことなく食らいつくしたい、ひな自身も知らないような奥の方まで。
ひとりじめしたいと思う。
『中学生のとき、保健委員だったんですよ』
────あの、何気ないひとことにまで。
離れている間に、ひなのそばにいた男のことを想像して羨ましくなってしまう。俺の知らないひなのことを知っている男をゆるせない、と思ってしまう。
こんなこと思ってるなんてひなはぜったい知らない。
知らなくていい、ぜったい引くから。
すやすや眠るひなを見ると、大きく開いた襟ぐりから首すじがあらわになっている。
いつか、衝動的につけた痕はもうすっかり姿を消していた。