狼くん、ふれるなキケン!



「な、なんで……っ?」

「別に、桜くんはその辺のソファに寝かせとけばいい」

「ええっ」




そんな酷な。



さすがにもう少し桜くんのことを敬ったほうがいいのでは……、それに、桜くんは日本に帰ってきたばかりなのに、と思ったけれど。



狼くんはどことなく気が立っている様子だったから、言えずじまいになる。




「あの、桜くん……」

「いいよ、俺別にソファで」

「えっ」

「むさくるしい雑魚寝とかより全然マシだから」




ざこね……。

桜くん、アメリカでどんな生活を送っていたんだろう、とちょっと気になってしまった。




「つーか、相変わらずだな」

「相変わらず?」

「狼は、ひなのことになると目の色変わる」




くすっと笑う桜くん。

狼くんが少し顔を顰めたように見えた……けれど。




「夕飯、つくってくる」

「狼が料理してんの? てか、できんの?」

「ふふ、家事は交代制なんです。狼くんの料理、おいしいですよ」




味はちょっぴり濃いめだけれど。
それでも日に日に上達している気がする。


上達具合が私よりも早いのはちょっぴり悔しい。




< 283 / 352 >

この作品をシェア

pagetop