狼くん、ふれるなキケン!
「な、なんで……っ?」
「別に、桜くんはその辺のソファに寝かせとけばいい」
「ええっ」
そんな酷な。
さすがにもう少し桜くんのことを敬ったほうがいいのでは……、それに、桜くんは日本に帰ってきたばかりなのに、と思ったけれど。
狼くんはどことなく気が立っている様子だったから、言えずじまいになる。
「あの、桜くん……」
「いいよ、俺別にソファで」
「えっ」
「むさくるしい雑魚寝とかより全然マシだから」
ざこね……。
桜くん、アメリカでどんな生活を送っていたんだろう、とちょっと気になってしまった。
「つーか、相変わらずだな」
「相変わらず?」
「狼は、ひなのことになると目の色変わる」
くすっと笑う桜くん。
狼くんが少し顔を顰めたように見えた……けれど。
「夕飯、つくってくる」
「狼が料理してんの? てか、できんの?」
「ふふ、家事は交代制なんです。狼くんの料理、おいしいですよ」
味はちょっぴり濃いめだけれど。
それでも日に日に上達している気がする。
上達具合が私よりも早いのはちょっぴり悔しい。