狼くん、ふれるなキケン!
かーっと赤くなった頬を見て、桜くんがけらけら笑う。
「真っ赤になっちゃって、かわいー」って、からかい口調で言われて、むすっと頬をふくらませた。
「ひながここまでわかりやすいのに、まだくっついてないとはなー」
「……?」
「アイツもたいがい鈍いし、頭硬いからか」
あいつ……、狼くんのこと?
どういうことだろう、と眉を顰める。
「狼とは上手くやれてる?」
「あっ、はい。狼くんと一緒にいられるだけで、私は嬉しいので……!昔にくらべると、ちょっと……距離は、遠いですけど」
えへへ、と苦笑いを浮かべる。
そういえば、私は。
私は、狼くんと生活できることが楽しいと思っているけれど、狼くんにとっては、どうなのだろう。苦痛になってないかな……とそんなことを考えて、ちくりと胸が痛む。
ちょっぴりテンションの下がってしまった私に、桜くんは。
「それさ、俺のせいなんだよな」
「……え?」
何気なく、まるで明日の天気の話でもするかのようなノリで桜くんが『俺のせい』なんて言い出すから、びっくりした。
“それ” って、どれ?
俺のせいって……?
急にわけのわからないことばかりで頭のなかがパンクしそうになる。
混乱する私に、桜くんは悪びれずに不敵な笑みを浮かべた。