狼くん、ふれるなキケン!
「どうして、そんなイジワルしたんですかっ?」
「はは、それは、ひなが藤川兄弟の初恋泥棒だったから、に尽きるかな」
私……?
それに、ハツコイドロボウって。
「意味がわかりません……」
「言うと思った」
くすくす笑う桜くん。
わかりにくい遠回しな言い方ばっかりしてくるのは、わざとなんだ。
むっと唇をとがらせるけれど、だめみたい。
「そのうちわかると思うよ。で、もう一つの理由は狼が弟だから、かな」
「弟だから?」
「おとうと、ってからかいたくなるよな。狼は特にいい反応するし、弄りがいがあるっていうか」
「……そういうものなのっ?」
「そーゆーもん。弟っつーのは古今東西、兄貴に振り回されるんだよ、そういう宿命だから」
にやにや笑う桜くん。
どう考えても兄側の桜くんが言うセリフとして、おかしい……!
心のなかで狼くんにしっかり同情した。
「ってことで、狼はひなに任せた」
「へっ?」