狼くん、ふれるなキケン!



『ってことで』がどこにもかかっていない。

脈絡がなさすぎて、ぱちぱちまばたきを繰り返す。




「俺の気まぐれの意地悪で、隠すことばっか上手くなった、狼の本音を暴いてやって」

「本音……?」



「そ。かたくなに見せずにいる本音がある、あの調子じゃ、そーとー我慢してるはずだし」

「でも、それなら私じゃなくて桜くんの方が……」




だって、何のことかはわからない、けれど。

桜くんのイジワルが原因なら、それをほどくのだって、桜くんにしかできないはず。



そう、ちゃんとした理屈で思ったのだけれど。





「ひなにしか、できないことだから」

「私、しか……?」



「狼の誤解をといてやってよ。大丈夫、あいつ、隠せてるようでぜんぜん隠せてないから。剥がそうと思ったら簡単に剥がれるよ」




隠してる……?
我慢、って何を。





「ひなだって、狼のぜんぶ、知りたいだろ?」

「……っ」





なんて、誘惑。
知りたいに決まってる。


狼くんのことなら……なんだって。





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