狼くん、ふれるなキケン!





違和感に気づいたのは、すでに缶の半分くらいを飲んでしまったあとのこと。




「……ふわふわ、する……?」




頭のなかがほわほわする。
なんかちょっと、変かもしれない。



でも、いやな感じじゃなくて……むしろ、ちょっと心地いいというか。ゆらゆら、ぬるま湯のなかでたゆたうような感覚。



それから……あつい。



体温があがっているような気がする、夏のあつさのせいとかじゃなくて、内側からじわっとくる感じの。

でもこれもいやな感じじゃなくて、このままぽかぽかあったまっていたいような。




「狼くんに、会いたい……」




まだ、帰ってこないかな。


ふわふわする思考回路でも、考えることは狼くんのことばかり。ううん、ふわふわしているから、余計に、かも。




狼くんに会いたい、大好き、声が聞きたい。
つのる思いが頭のなかを埋めつくしていく。




< 292 / 352 >

この作品をシェア

pagetop