狼くん、ふれるなキケン!


狼くんのことを考えるとますますあつくなってきた。

体が火照って、汗でべたっとはりついてくる制服がじゃま。




「んう……」




涼しさを求めて、しゅるっと首もとのリボンをほどく。

風通しが幾分かよくなって、気持ちいい。



……だから、気づかなかった、どれだけあやうい格好になっているか、なんて。そこまで頭が回らなかったの。




息苦しさを解消するべく、今度はブラウスのボタンに手をかける。

思考がふわふわ浮いているせいか、手元が狂って、うまくボタンがはずれない。



やっとのことで、ぷつっと一番上のボタンがはずれたとき。




「……っ!」




ガチャリと玄関の方から音がした。
鍵がひらいて、ドアが押し開けられる音。



狼くん、帰ってきた……っ!




待ちわびていたその帰りに、何も考えないまま、一直線に玄関へ向かう。

たたっと駆けて、グレーの髪が視界に入ってきた瞬間、たまらなくなった。




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