狼くん、ふれるなキケン!
「狼くんっ、おかえりなさい……っ!」
「っ、ちょ、なにいきなり」
狼くんが、ぴしりと石のように固まった。
ぎゅうっと真正面から狼くんの大きな背中に腕を回す。
落ちつく、大好き、あったかい。
前にゾンビ映画を見てしまったときもそうだったけれど、狼くんにくっつくのが好き。心地よいドキドキが安心を連れてくる。
離れがたくてぎゅっとそのまま身を預ける。
「……ひな、どうした」
「狼くんが、いないの、寂しかったの……っ」
「……今日は、ふつうに帰ってきたんだけど」
困ったように、べりっと体を引き剥がされる。
それで、私の顔を覗きこんだ狼くん。
「顔、赤い」
「ひゃ……っ」
おでこに、手の甲でふれられる。
それは、ほんの一瞬だけ。
「熱はないな」
「元気ですもんっ」
「でも変」
「変じゃない……っ」
むっと頬をふくらませる。
目についた狼くんの手のひらをぎゅっと両手で握ると、狼くんはぴくりと体をふるわせた。