狼くん、ふれるなキケン!



「なにこの手……」

「狼くんの手、気持ちい、から」



さわってたいの、だめ?

とろんとした目で狼くんをじっと見つめる。
ふいと逸らされた視線は、ふと私の胸元に向く。




「……っ」

「ろう、くん?」

「何その格好」

「せいふく、ですよ?」




いつも通りなのに、と思っていると、狼くんがぎろりと私を睨みつけた。思いのほか強い視線に、びくっと体が竦む。


私、なにかだめなこと、した……?




「俺が言ってんのは」

「……?」

「これ、何してんのって」




ほどけたまま、だらしなく首から下がっていたリボンを、狼くんの指先がつかまえて、引き抜いた。

見せしめみたいに目の前にぶら下げられる。




「そんな格好、好きでもない男に見せて平気なわけ」




ゆらゆら揺れるリボンを見つめながら思う、平気だもん、だって狼くんしかこの家には帰ってこないもん、狼くんが私のすきな人。

だから、狼くんなら……。


それに。




「だって、あつくて」

「昨日とそんな変わらねーよ」

「ほんとなのっ、すごく、あつくて……っ」




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