狼くん、ふれるなキケン!
わからないなら、たしかめてほしい。
狼くんの手のひらをぎゅっと掴んだまま、あつく火照っている肌にふれさせようと、開いた襟のところへ持っていこうとして。
「っ、ばか」
ぶんっと勢いよく振り払われた。
あからさまな拒絶にしょぼんと肩を落とすと、狼くんはあきれたように息をつく。
「やっぱ、今日のひな、変」
「いつもどおりですもん……っ」
「喋り方もふにゃふにゃしてるし」
ふにゃふにゃ……?
わからない、自分ではちゃんと喋っているつもりだもん。きっと、狼くんの気のせい……。
狼くんはくるっと背中を向けて、すたすたとリビングの方へ向かっていく。
そして、ローテーブルの上にあるものを視界に入れるなり、チッと舌打ちひとつ。
「これか」
「……?」
「これ、飲んだ?」
これって言われても、何のことかわからない。
きょとんとする私に、狼くんはローテーブルの上に置きっぱなしだった缶を持ちあげた。
「これ」