狼くん、ふれるなキケン!


「酔っては……ない、けど、体があつくて……」



体の内側からじわじわと昇りつめてくる熱。

風邪をひいたときのようなだるさはないものの、ちょっと苦しいくらいの熱がこもっている。


ボタン1個じゃ足りなくて、あつくるしいのを我慢できなくて、2番目のボタンに手をかけようとして。




「ひゃ……っ、う」




狼くんがそれを制止するように私の手首をつかまえた。


両手首をひとまとめにされて、まるで逮捕されたドロボーさんみたい。

狼くんの大きな手のひらは、さながら手錠。




「っ、きゃうっ」




手の自由を奪われたせいか、ふらっと重心が傾く。

あたまがふわふわするのと同じように、足元もなんだかふらふらするような気もしていたから、そのせいもあるかもしれない。



バランスを崩した私の体は、まるでそうなるのが必然だったかのように、狼くんの腕のなかにすっぽりおさまった。




「ひな?」




受けとめてくれた狼くんの声が耳元で響く。

胸の奥がきゅう、と疼いた。



好き。

好きで好きで、たまらなくて、困っちゃうくらい、好きなの。




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