狼くん、ふれるなキケン!
なけなしの勇気を振りしぼる。
ふるえそうな指先はぎゅっと握りしめた。
「狼くん、私が昨日言ったこと、なんですけど」
「……」
「っ、あの、あれはなにひとつ嘘なんかじゃ、なくてっ」
じっと狼くんの瞳を見つめる。
逸らさない、ちゃんと、届いてほしい。
見つめた瞳からは、狼くんの感情は読み取れなかった。
「狼くん、私、狼くんのことが────」
「また “好き” だなんて言うつもり」
一番たいせつなところを言わせてくれない。
容赦なく遮られて、思わず口を閉ざした。
狼くんの刺すような視線に体がすくむ。
それでも、まだ、あきらめたくない。
『まだ “好き” だなんて言うつもり』
言うよ。
言うもん、性懲りもなく。
だって。
「……っ、だって、狼くんが好きだから……っ!」